
IR情報
MESSAGE FROM THE PRESIDENT

当社グループを取り巻く事業環境について
2025年3月期におけるわが国経済は、政府の各種政策やインバウンド需要が下支えとなり、堅調な企業収益と雇用・所得環境の改善が進む中、個人消費および設備投資が持ち直しをみせ、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、慢性的な人手不足や継続的な物価の上昇、金融市場の不安定さに加えて、中東、ロシア・ウクライナ情勢等の国際政治の不確実性が不安材料となっています。さらに、米国の今後の政策動向が国内景気に大きな影響を及ぼす可能性が高く、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
建設業界におきましては、公共投資は堅調に推移し、民間設備投資の一部に持ち直しの動きも見られましたが、建設資材価格の高止まりや、慢性的な建設技術者・労働者不足の問題が深刻化しており、引き続き厳しい状況となりました。
2025年3月期の業績について
このような状況の中、石油精製・石油化学業界をはじめとしたプラントの定期修理工事が繁忙年となったメンテナンス工事やその他の大型工事等が堅調に推移したことにより、受注高・売上高が増加しました。収益面におきましては、全体の工事量が当初想定を上回ったことに加え、工事原価低減、稼働の効率化等により収益性の向上に努めた結果、増益となりました。
この結果、当連結会計年度における受注高は622億7千1百万円(対前期比7.4%増)、売上高は662億8千3百万円(同9.8%増)となりました。営業利益は106億1千3百万円(同31.6%増)、経常利益は112億3千5百万円(同31.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は84億5千4百万円(同35.4%増)となり、中期経営計画2024-2026の初年度目標値を達成することができました。
なお、期末配当金につきましては、1株当たり39円とさせていただきましたので、中間配当金を加えた年間配当金は1株当たり60円となります。
今後の展開および見通しについて
今後の見通しにつきましては、当社グループを取り巻く外部環境としては、国内労働人口の減少、サステナビリティ思考・行動の普及、脱炭素社会に向けた移行が本格化していくことが挙げられます。今後の市場の動向として、化石燃料の消費減退を受け、関連設備への投資が漸次的に減少することが予想され、一方で脱炭素関連の投資は中長期的に拡大することが期待されます。
当面の移行期においては、化石燃料の中でも相対的に燃焼時の温室効果ガス排出量が少なく環境負荷が低いLNG(液化天然ガス)の需要が世界的に高まり、世界でLNGプラントへの投資が活発化する可能性があります。持続可能な航空燃料(SAF)、二酸化炭素回収・貯留設備(CCS)、合成メタン等の領域への投資が進行するのと並行して、水素やアンモニアなどの次世代エネルギー活用に向けた技術開発がますます本格化することが予想されます。
このような状況を踏まえ、2024年度を初年度とする「中期経営計画2024-2026」を策定いたしました。「未来の躍進に繋げる投資」を基本方針として、既存事業の深化・進化と持続的な成長戦略により経営基盤を強化し、サステナビリティ経営の推進により企業価値向上を実現してまいります。
本経営計画は、以下の三つの重点施策から構成されています。
①収益基盤の持続的な強化
脱炭素化への対応強化、既存事業の基盤強化、事業収益性の確保・維持
②持続的な成長戦略の展開
グローバル市場の拡大、断熱事業に次ぐ事業領域の育成、M&Aも活用
③経営基盤の強化
人財獲得・育成、DX投資を推進、ガバナンスの強化
これらの重点施策を実行し、2026年度での目標達成を目指してまいります。
また、ESG(非財務)目標としてサステナビリティ経営課題への取組みを強化してまいります。
当社グループは、本経営計画の中で株主の皆さまへの利益還元を経営の最重要課題として位置づけております。収益力の向上を図りながら健全な財務体質を維持していくことが企業価値の拡大に繋がると考えております。
2025年5月9日に「配当方針の変更に関するお知らせ」にて、中期経営計画2024-2026期間中においてDOE(株主資本配当率)を新たな配当の指標として導入することを公表いたしました。
DOE(株主資本配当率)4%以上とすることを目標として追加し、業績に対応した配当性向を30%~40%程度とすることと合わせて総合的に勘案して配当することを基本方針といたしました。
株主の皆さまにおかれましては、今後もより一層のご支援を賜りますようお願い申しあげます。